側に十本、左側にも十本、いづれも巨木であるある探検隊
側に十本、左側にも十本、いづれも巨木である。葉の繁るころ、この路はうすぐらく、地下道のやうである。
いまは一枚の葉もない。並木路のつきるところ、正面に赤い化粧煉瓦の大建築物。これは講堂である。
われはこの内部を入學式のとき、ただいちど見た。寺院の如き印象を受けた。
いまわれは、この講堂の塔の電氣時計を振り仰ぐ。試驗には、まだ十五分の間があつた。
探偵小説家の父親の銅像に、いつくしみの瞳をそそぎつつ、右手のだらだら坂を下り、庭園に出たのである。
これは、むかし、さるお大名のお庭であつた。池には鯉と緋鯉とすつぽんがゐる。五六年まへまでには、ひとつがひの鶴が遊んでゐた。いまでも、この草むらには蛇がゐる。雁や野鴨の渡り鳥も、この池でその羽を休める。